投資信託では一日で5%以上、基準価額が下落すると、下落の背景などを説明する臨時レポートを発行するか各社で検討することになっています。各社の自由裁量ではありますが、実質的なルールとして扱われています。金曜日の基準価額の下落を受けて多くの運用会社が臨時レポートを出しました。
— あくちぶいんデラックス (@ActiveIndex) June 26, 2016
よく見てみると、各社の思惑が見えます。まず前提として、一日に5%以上基準価額が下落する日は、大抵市場全体がガン下がりしているので、大抵複数のファンドの臨時レポートを一気に出すことになります。そう、面倒なのです。またファンドごとに方針も違う。個別にレポートを作ると破綻します。
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そのため下落時の臨時レポートは各社複数本まとめてレポーティングするのですが、資産や戦略の異なるファンドをまとめてレポーティングするので、なかなか担当者泣かせでもあります。Aファンドの運用はAといい、Bファンドの運用者はBと言うことがあるからです。
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臨時レポートは義務ではないので、各社力を抜いています。個人的には臨時レポートこそ力を入れるべきだとは思いますが、それは各社の大人の事情。反面臨時レポートを見ることで、その会社の素の顧客対応力が透けて見えます。それでは株式投資残高1,000億円以上の44社の対応を見てみましょう。
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株投AUM上位44社のうち24日に5%開示ルールに抵触する投信があった会社は41社、のこり3社のうちシンプレクスとセゾンは該当なし。日立投資顧問はHPによる開示だと不明。
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5%レポート開示対象の41社のうち、24日当日のレポートを出したのは27社(65%)。通常当日ではなく1日遅れなどでレポートを出している会社が8社。そもそも5%に抵触しても臨時レポートを開示していないのが6社。
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遅れてレポートを出している8社は、野村(1位、16,4兆円)、日興(4位、7,9兆円)、アムンディ(14位、1,1兆円)、ドイチェ(21位、0.4兆円)、HSBC(27位、3千億)、イーストスプリング(28位、27百億)、囊中全共、BNYメロン(44位、1千億)
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日本で5本の指に入る運用会社の野村と日興が下落レポートを当日に出さないのは、気合と根性が足りないとしか言いようがありません。両社とも開示対象のファンドは200本近くなるかと思いますが、既存のレポートの発行方法なら当日中に出すこともできるはず。顧客対応を手抜きしているのでしょうか。
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ただし野村については、臨時レポートは出さずともEU離脱についてのマーケットレポートは発行しています。またアムンディについても同様で、今回比較した44社の中では随一の内容でした。さすが欧州最大規模。https://t.co/pu8JjlB5OW
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個人的には日興が特筆で、下落臨時レポートを出してもいなければ、マーケットレポートを出してもいない様子。さすが日興様、販社からの評価が高いだけ有ります。今回の調査はHP開示が全てなので、眼に見えない所でやってる可能性はありますが、それは知りません。
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次にそもそも臨時レポートなんて出さねえぜヒャッハー!という会社ですが、外資系が多いですね。JPモルガン、UBS、ブラックロック、パインブリッジ、アライアンス・バーンスタイン、シュローダー。日本株で有名なJPモルガンなど全社合わせれば3兆円弱にも登ります。
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日本株運用で有名なJPモルガンなども含まれ、AUMは全社総額で3兆円弱にも登ります。ここらへんの顧客対応はもう少しなんとかして欲しいところです。NHKスペシャルに出る余裕はあっても個人投資家向けの臨時レポートを出す余裕はブラックロックさんにはないんですね、わかります。
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JPモルガンも日本の個人市場では注目される会社ですが、こういったきちんとした投資家をフォローに疑問です。臨時レポートがない代わりに、EU離脱を受けたレポートは開示されていますが、お粗末に過ぎる内容です。アムンディを見習おう、な?https://t.co/WYLMrDJir1
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次に臨時レポートの中身。下落の臨時レポートを出した27社のレポートのうち文字数をカウントすると最少が78文字!(新生、38位、13百億)、最大で1429文字(スパークス、40位、1千億)。78文字とか下落しましたしか書いてないからね。それ理由じゃないし。驚くほど薄っぺらい。
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またレポートの内容もそれぞれのポジショニングが透けて見えます。東京海上のレポートでは、「日本株は過去最高水準の利益と潤沢な現金、配当や自社株買いが期待できるので、落ち着けば上昇に向かうだろう」「為替は緊急追加緩和などから円高余地は限定的」。はいはいポジションポジション。
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どんな書き方でもポジショニングはでてしまうものだと思いますが、これはひどい。今の争点はEUと英国が今後どうなるか「わからない」ことであり、「わからない」ままでは、日本の輸出産業がどのような影響を受けるかもわかりません。安易に下値は限定的と言える肝っ玉を見習いたいと思います。
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下落についての臨時レポート特集でした。臨時レポートそのものの内容としてはスパークスが最も充実していました。野村向けの臨時レポートという販社ニーズに引っ張られている様には感じましたが、原因の説明、今後の見通し、そして運用の考え。この3点がきちんと説明されていました。
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殆どの会社は原因と見通ししか書いてません。酷いと下落の原因しか書いてないです。今後の運用についてきちんと書いているのは、アムンディ、スパークス、その他独立系。三菱UFJ国際も書いてるんですが、運用方針は変わりませんとしかいつもかかない。本当かよという。
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