米国ではとっくに普通に上場しているETNが東証にも上場しますね。個人的にはレバレッジドETFとかツールとしての使い勝手の向上についてはまだ色々と言い分があるのですが、それはさておき今回はETNって実質的にどうちがうの?っていう話です。投資対象資産とか分配の仕組みとか細かいところはおいておいて、実質的な部分のみ取り上げたいと思います。
①投資家にとって使い勝手の上での大差はっていうか差はないです。ETFです。ETFもETNも投資家からみてみれば指数連動の上場証券なので、大差ありません。②ちがうのは裏付け資産以降の扱いだよ!【ETF】であれば裏付けは基本的に現物資産ですので、発行金額とイコールの裏付け資産をETFの管理会社は保有していることになります。例えば100億円のロコ・ロンドン金価格連動ETFが上場しているとすれば、そのETF管理会社は実際に契約倉庫に100億円分の金塊を保有しています。【ETN】はしかし、現物資産の裏付けがなくても良いという商品です。通常のETFが裏付け資産として現物の証券や金やその他を実際に保有するのに対してETNが裏付けにするのはブローカーから契約によって発行された「債券のようなもの」です。ここらへんはスキームにより多種あるので書いてる筆者自身もあやふやだったりするぶぶんもあるのですが、基本的には【ETN管理会社とブローカーが契約を結び、ブローカーはETN管理会社へ契約対象の指数と同一のリターンを提供する】ということです。え?じゃあそのブローカーが裏付けの資産を持ってるだけでかわんないんじゃないの?そうですね、そういう考え方もありますが、大事なのはブローカーは指数に連動するリターンを提供すればいいだけってことです。極端な話対象指数がMSCIエマージングだったとしても実際にブローカーがMSCIエマージングに連動するように裏付けのポートフォリオを作るとは限りません。べつにアクティブに運用してMSCIエマージング以上の収益を上げて、指数連動部分のみのリターンをETN管理会社に提供してもいいわけです。もっと極端な事を言えば、連動するのは金価格であるETNでも、ブローカーはもしかしたらヘッジファンド的な運用をしているのかもしれません。まあ、出来ればですし、裏付証券の中身がどうなってるのかなんて開示してくれた試しはないわけですが。これだけきくと、「えっETNって相当やばくね?」って感じもしますが、実際にはブローカー側でどんなことやっていようが、結局指数に連動するリターンは提供されるように契約を結んでいるので、指数のリターンが提供されろことは決まっていますし、これまでこの契約を逸脱する行為はみたことありません。【もひとつ大事なのはブローカーが倒産するリスクがあるよ!】ETNの裏付け証券のリターンは契約したブローカー側からのみ提供されますので、現物資産を保有しているETFと違って、ETNでは仮にこの契約ブローカーがリーマンブラザーズで合った場合、最悪ETNが紙切れになる可能性がありますよ、っていうことです。ETFであればとりあえずなにかあっても裏付けの資産をぶんどってくればいいだけですが、(実際にはそれも結構めんどくさいでしょうけど)、ETNは最悪債権者集会にでなくちゃいけない・・・なんてこともあるかもしれません。しかしそういったカウンターパーティーリスクを低減するために、契約ブローカー側は資産相当の担保を差し入れるなどといった契約等を持ち出してロジック上のリスクフリーを実現できるように努力はしています。【まとめ】とまあETNとETFの違いについてざっくり、見てみたわけでありますが、通常時のマーケットにおいては投資家からしてみれば結局どっちも変わりありません。ETNとETFの違いを正確に把握して比較してっていうのはトヨタと日産のメインバンクの違いにおける資金繰りリスクを語るようなもんじゃないかななんて私は適当なことを思ったりします。しかし振り返ってまたもう一度リーマン・ショックが起きた時どうなるのか、ゴールドマン・サックスがぶっ潰れたら、BMPパリバがぶっつぶれたらどうなるのか、という可能性の世界でしかありませんが、投資家はその部分を忘れてはいけません。まあじゃあETFなら必ず現物資産あって何があっても大丈夫かって言われると最近はそうでもないくらいに複雑な商品になっていますし、公募投信ならさらに大丈夫かっていうと本当に潰れたらどうなるかなんて誰にもわからないわけですが。まあしかしETNってはややこしいものなんだな、ああ裏付けのブローカーはあいつか、くらいは見ておいてもいいのかもしれません。色々書いたけど、みんなETF買ってくれよな!!おしまい【追記:2011/9/22】Twitterなどを見ているとETNはけしからん!みたいな事を聞くので少しだけ追記します。ETFだからいいのかって言うと実はそうでもなくてよーく見てみるとETFの中身は海外だと通常ETNとして出しちゃうけど、色々会ってくるまってETFになっているよ!っていうものも結構あります。しかし通常のETF売買時においてはそこまで細かいところをみる投資家の方もいないでしょうし、個別の判断は個人投資家レベルだと極めてめんどくさいと言わざるを得ないと思います。逆にETNだと絶対行けないのかというとそうでもなくてまあ普通に対象指数のリターンは提供されているわけで、なんか困るのか?っていわれるとそうでもない気もします。まあしかしやはりマーケットクランチ時にはETFに比べればカウンターパーティーリスクが大きくなっている可能性は高いわけですけれども、そうはいってもそんなETNがクラッシュしそうになるなんてことがあれば、個人的にはETFも、もしくは他の現物証券なんかも一緒にクラッシュしそうだな、なんて思うわけであります。しかし実際にはそんなこと起きてみないとわかりません。
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