大和住銀 短期豪ドル債オープンここ一年か二年ほど非常に販売が好調だったファンドがあります。それが表題の短期豪ドル債オープンです。残存期間が1年程度以下のオーストラリアドル建ての公社債に投資しようという、割りとシンプルなファンドですが、一時期オーストラリアのイールドカーブがほぼフラットであったことで長期債のリスクを抱えずに相対的に高い利回りを得られることや、豪ドルのラリー環境が好調であったことなどがマーケット的な後押し要因としては記憶にあたらしいところであります。
写真は週次での短期豪ドル債オープンの純流入状況です(公開情報しか使ってないからセーフです!セーフ!あと分配金払い出しによる解約については推計ベースで打ち消してやっています。)2010年、2011年と週次で100億を超える順調な流入が続いていたのですが、先週長らく続けていた100円分配を諦めて、70円に引き下げました。そのとたん2008年以降見たことのないような流出に襲われたのです。先週の金曜日に分配金の引き下げを発表、水曜日は約50億の解約超、木曜日は80億弱の解約超ととんでもないことになっております。とは言えかつてのグローバル・ソブリン・オープンやグローバル・インカム株式ファンドも同じような流出に見舞われたのも話題になりました。小口の投資家のお金が積み重なると、津波のようにお金が入ってきて、そして何かのはずみで一気に引いていく。残ったものは荒れ果てた土地。短期豪ドル債オープンの状況を見るにこんな感傷的な気持ちにならざるを得ません。しかし、過去の前例を踏まえるとどうしても短期豪ドル債オープンもこのままズルズルとしぼんで行ってしまうのではないかという思いを払えません。通常であれば競合他社なのですが、この分配金偏重型の投信マーケットを前に同情というか危機感というか、なんとかしたいというか、個人的なビジネスの利害を超えた感情もいだきます。短期豪ドル債オープンの例でみれば、直近まで毎月の分配金から約190億を払いだしていました。毎年約2400億円が勝手に出ていく計算です。資産運用業界全体では、毎月約4,000億円を超える(うろ覚え)分配金が払い出されています。約1%の信託報酬としても毎月業界全体で24億円の収益が失われている可能性があるわけです。あまりにも高い分配金は顧客の資産運用にとって非整合的なだけではなく、運用会社の収益にとっても、販売会社の収益にとっても過ぎれば毒となる、劇薬です。何とか出来ないのか、なんとも出来ないのか。そんなことを思いながら家に帰る電車に乗っています。僕らは焼畑農業やってるわけじゃないんだよ!
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