マイナス金利導入の影響 運用業界では大和投信が真っ先に氷風呂から逃げ出す

日銀によるマイナス金利導入により、株価がおかしい事になったことが注目を集めていますが、一方でもはやカーブなんて無えじゃねえかと言っても過言ではない日本のイールドカーブにも激変が起きています。

日本国債10年 利回り 1月29日1日の利回り推移

寄りには22bpsあった(しかなかった)利回りは、引けまでに10bpsまで下がっています。12bpsの下げ幅なら米国債なんかでかつてはよく起こりました。しかしいかんせん元が0.2%という超異次元の低金利から一日で半分の10bpsになったということは大変なことです。もう色々と規格外すぎるのでなんともいえませんが一日で金利半分とか金利のボラどうなっちゃうのおしっこジョーてな感じで良いのでしょうか。

日本国債2年 ここ1ヶ月の利回り推移


2年利回りは一日で-0.02から-0.07まで吹っ飛んでしまいました。すごいです。

「おいいいか、イールドカーブってのはな、右上がりなんだよ」と昔先輩に教えられたかどうかすでに定かではないものの、左下がりのイールドカーブを実現する日が来るとは思いませんでした。

かかる状況において、マイナス金利の影響に真っ先に反応したのが大和投信です。大和投信はマイナス金利が導入された29日にいち早く、「中国ファンド、FFF、MMFお申し込み中止のお知らせ」ということでMRFを含む3商品のお申し込み受付を停止しました。

ここ数ヶ月の利回りを見ますと0.04%(年率)で推移していましたので、これがマイナス利回りになると、2001年のエンロン破綻によるMRF元本割れショック再来かということで、一先ず設定受付を止めたのかもしれません。もう2001年当時にどこのMMFが元本割れしたかまで覚えていないのですが、まあその時の反省を活かせば、あぶれた新規資金の流入によってマイナス利回り実現を回避したとも言えますし、利回りは各社さほど変わらないことを考えれば、大和投信が真っ先にケツまくって逃げたと言うこともできます。ただ、これはどちらが良し悪しということでもなく、結果としてどうなるのかを見て判断するしかありません。

2015年12月末の各社のMMF、MRF残高等(出所:投信協会)

昨年末時点で大和のMMFは業界1位の残高を誇っています。大抵何か市場急変による対応の場合は、野村がリリースをしてから他の会社が追随するのがイメージだったの、今回の大和の対応は少し意外だったのですが、いち早くビビったわけではなく、最大の残高故にリーダーシップを取らざるを得なかったという背景もあるのかもしれません。

いずれにしてもマイナス金利の影響が如実に出てきますと、他の会社のMMFがどのような対応をしてくるのかが注目されるところです。またMRFについてもその動向が注目されます。MMFの約10倍の市場規模があり、証券会社の証券口座に入金すると自動スイープ先に指定されていることもありまして、その流動性も半端ではありません。MRFも構造はMMFと似たようなものですから、マイナス金利の影響をモロに受けた場合、各社がどういう対応をするのかが気になります。ただし前述の通り、待機資金の受け皿という公益性も持っていることから、その対応はMMFよりも難易度が高くなると思われます。

むしろそこら辺詳しい方、教えてほしいくらいです。

まあともかくまとめとしては、マイナス金利に一番最初にビビって氷風呂から飛び出したのは大和投信であったということです。


2016/1/31追記

聞くところによると他社も週明けには追随するようで、大和投信が単独10馬身ぶっちぎっての逃走というわけではないようです。公募投信を止めるにあたっては、「明日辺り止めますよ」と影響の大きなファンドなどについて一応ノーティスしていたような気がしますので、大和以外は慣行に従い、大和はそうではなかったということなのでしょう。

MMFは11社、中期国債ファンドについては大和、みずほ、三菱UFJ国債の3社が運用しています。まずターゲットと成るのであればここでしょうが、他社もMMFを止め始め、本格的にマイナス金利が影響し始めたとき、MRFがどのような行く末をたどるのか、気になります。

MRF、MMF、中期国債ファンドの一覧は日経が分かりやすいと思いました。

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